千葉県は温暖な気候と、豊かな海、肥沃な土地に恵まれ、昔から農林水産業が盛んでした。 三方を海に囲まれ、イワシ、サバ、ブリ、イセエビ、アサリ、アワビ、ヒジキなど海の幸も多く、漁獲量は全国8位となっています。米や野菜の生産も盛んで、農業産出額は全国4位で、あらゆる農林水産物がそろう食の宝庫です。
また、牛乳産出量も全国5位で、日本の酪農発祥の地でもあります。 徳川八代将軍吉宗の時代に、南房総の嶺岡の一帯に、牧場が作られインド産の白牛を輸入し、乳製品を製造、滋養強壮の薬として珍重しました。
千葉県の海苔の生産量は全国8位、米は9位となっています。
房総太巻き寿司は千葉県の産物である海苔と米を使い、房総半島中部の、旧上総地方(市原、袖ケ浦、君津、木更津、長生、東金、山武)で、冠婚葬祭や、地域の集まりの時のごちそうとして作られてきました。
海苔は江戸時代から自然養殖され、品川~大森で漁師により採集されていました。
江戸後期に大森で海苔問屋を営んでいた近江屋甚兵衛(1766~1844年)が、遠浅の海で川の水の流れる場所には海苔ができると確信し、千葉県の内房の川の河口にある浦安、五井、木更津を訪れます。ノリ養殖のためのヒビをたてさせてもらいたいと頼みましたが、漁の邪魔になる、塩田があるなどの理由で断られてしまいます。そして、小糸川河口の君津市人見村でようやく名主の協力を得られ、試行錯誤し文政6年(1822年)「上総海苔」の栽培に成功しました。君津市などの内房では、太巻き寿司は大正時代から作られ、「二つ巴、三つ巴、文銭、三色巻き」などの「伝承ずし」が地域で受け継がれていました。
市原市では養老川の河口で、明治33年から養殖が始まりました。ノリの種付け場として、市原は良質の海苔が採れる一大生産地として栄えました。産地でキズ海苔などもあり、高価なノリも使えたため冠婚葬祭のおもてなし料理として、房総太巻き寿司づくりが盛んでした。各家庭の味として「チューリップ」「二つの花」「渦巻き」「サザエ」などの柄が受け継がれてきました。現在は巻き手の高齢化が進んでいます。
市原市はコンビナート建設にともない1960年代に海が埋め立てられ、現在は、海苔は木更津市、富津市で生産されています。
房総太巻き寿司は、昭和の初めに海苔が一般に普及されようになったため、戦前からいろいろな具材を芯にして巻く方法で、家庭や地域で作られていました。 戦後、豊かな時代に入り、巻き方がさまざまに工夫されるようになり、花、動物、文字、キャラクターなど、多彩な巻き方が、創造されています。
最近では、ごはんを主食にした、日本型の食生活のよさが見直されています。栄養価の高い海苔、酢を使い、千葉産の米を使った房総太巻き寿司も、地産地消、米消費の拡大という点で、再評価されています。 また、「食育」のテーマのひとつである郷土料理の伝承という面でも注目され、次世代へ是非伝えて生きたい食文化だと思います。
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